2018/02/12

冬虫夏草の実る木

もちろん本当に木に実っているわけではないが、確かに存在する。冬虫夏草界隈ではツボというが、良好な環境には写真のように冬虫夏草が群生するのだ。これはコブガタアリタケという冬虫夏草だが、この様子を見た当時「僕はワクワクしているけどアリにとってはまさに地獄だろうなぁ」と思ったものだ。本家アリジゴクよりアリジゴクなんじゃないかと思ったり。

拡大するとこんな感じ。宿主がムネアカオオアリなのでアリとはいっても全体像は結構な迫力。子実体が襟巻きに見えて可愛い印象があるところが狂気じみていて気に入っている。

冬虫夏草のツボが見つけられるという事は、冬虫夏草が発生する環境を理解できているという事。冬虫夏草屋にとってツボの発見はそういった自信にも繋がる。
実はコブガタアリタケの発生環境は冬虫夏草一般として特殊な部類に入るのだが、それもまた経験なのだ。
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2018/01/03

家庭でカンタン追培養!

明けましておめでとうございます。今年も冬虫夏草にまみれたいと思います。
さて、今回はクモに寄生するギベルラ属の冬虫夏草を育ててみた。業界ではこれを追培養というが、これは色々な妄想をさせてくれて僕はとても好きだ。
今回は今年の冬に未熟な状態で採取したギベルラ属の冬虫夏草を採取当初の環境を再現して追培養している。写真の通り見事成功。結果的にみると今回の温度湿度は一般的な屋内とそこまで変わらない環境での成功となった。もちろん湿度はある程度確保する必要はあるけど。つまり!特別な器具が無くても皆さんにも家庭でカンタンに追培養が出来てしまうのだ。レッツ追培養!!アナモルフの冬虫夏草が成功しやすいのでオススメだぞ。
ところで今回の面白いところは、真冬の環境で何の問題もなく成熟した事が分かったこと。気生型の冬虫夏草は越冬して翌年の春から夏に成熟することも多いので長期戦も覚悟していたが、これは嬉しい。
この結果から始めて、「ではクモが少ない真冬に分生子を飛散させるのか」という疑問にたどり着くことができた。今後の課題で妄想も膨らむ。そんな事を考えながらの年越しだった。幸せ。




別角度で。





先日静岡新聞様で連載させていただいていた冬虫夏草に関する新聞の連載が終了しました。小学校、中学校と国語を2以上とった事が無い僕ですがなかなかの反響だった様です。質問の手紙もいただけて本当に嬉しかったです。おつきあいいただけた方は本当にありがとうございました。
今後も色々な形で皆さんに冬虫夏草の魅力を伝えられると思います。その際にはよろしくお願いします。
2017/12/14

石垣島に住まう動く宝石。

以前石垣島に行った時の一枚。メインは当然冬虫夏草で、イリオモテクマゼミタケ。この目的は達成されることになる。
そんな中地面ばっかり見ていて、ふと見上げた枝先でサキシマキノボリトカゲが輝いていた。あげればキリがないが、先島諸島はいつ訪れても輝いている。
現地では普通に見られるけど飼おうとしてはいけない。結構難しいらしい。
2017/11/16

菌類の出す色

ソライロタケ。案内してもらって見た瞬間、この金属的な色が本当に自然界で出る色なのか!?と感じた。どうも寒色、暖色に限らず菌類の出す色は冷たい色に感じる。古くなって黄色味を帯びて錆びている感じがさらに金属感を増幅している。

ほぼ完全な状態だとこんな感じ。柄の部分に向かうとグラデーションで紫色っぽくなるのも素敵。地元でも目撃情報があるらしいが、なかなか難航している模様。

裏返すとなんと表面よりキツいえぐみさえ感じる青色。本当なんでこんな色をしているのか。

普段冬虫夏草ばかり探している僕だけど、実は「次はどんな印象の色が見られるだろう」という楽しみも密かに持っている。本当に自然には楽しいことが溢れている。
余談だけど最近生活環境が大きく変化しそうで忙しい。頑張って楽しまねば。
2017/10/10

今回の収穫は意外なアレ

さて、また1ヶ月経過しそうですね。広告が出てしまいます。
現在静岡新聞様で連載させて頂いている冬虫夏草探索記も今週で12回目となりました。新聞というと僕はお硬い印象があって、どう考えても僕が文章を載せるなんて考えられなかったです。編集者の方のお陰ですが、こうしてブログを打っているとしみじみ嬉しく思います。もう秋も本番ですが、記事を見て山に行ってくれた人が数人でもいるんでしょうか。その数人のために僕は文章を書いたり、写真展やったり、、、本当に充実しています。
ところで、これから新聞記事はドンドンマニアックになっていきます。ご期待ください!
話は変わって先日ウメムラセミタケを探しに山に入ってきた。去年も見つけている場所なので、見つかれば良いなと。しかし今回はこれだけじゃない!「冬虫夏草に興味がある」と言っている中学生H君をフィールドに案内したのだ!
この子との出会いは僕が講師をしているイベントに来ていて、手書きの質問書をくれたことから始まる。そこには自分で山に行き、考え、導き出した質問が丁寧に書かれていた。この質問だけで十分科学であった。嬉しくなって、回答書はワードのA4用紙4枚になってしまった。我ながらやり過ぎた(笑)それだけ嬉しかったということ。
その後その回答も活かして自由研究をし、学校代表になり、現在さらに上の選考まで行っているそうだ。断っておくと僕がしたことは回答だけで、ほとんどは彼自身の実力。これがその一部。


絵が上手い、、、絵が書けない僕は羨ましい。

観察記録もしっかりと。僕も中学生の時に身近な生物をまとめましたが、その時を思い出す。

樹脂包埋して標本作りまで。良い意味で完全に狂っている。
こんな彼とのフィールドだから、僕も本当に楽しみにしていた。
目的地に集合して出て来たのは、H君とその両親。H君宅から目的地までは1時間半以上かかるにも関わらず息子のために両親総出。(あぁ、、、H君の凄さは両親の協力体制があってこそなんだな。)と思い、少し羨ましかった。僕の中学生の頃はこうはいかなかった。
始まってからはひたすら喋りながらウメムラセミタケ探し。
一番最初に見つけたのはなんと、H君のお母さん。マジかよ!のほほんと「これはー?」じゃないですよ。それだよ!!
その後程なくして僕も見つけましたがやっぱり悔しい。
その後このお母さんトイレに行ったついでにコガタスズメバチに寄生したハチタケも発見。もういいです。もうH君に冬虫夏草を教えるのはご自身でお願いします。


やはり宿主が大きいと迫力がありますねー。しかし、もう少し子実体が出てても良いのになー、とも思う。環境がそれほど多湿じゃないので、環境が少し合っていないのかな?
H君には僕が見つけたウメムラセミタケを譲り、掘ってもらった。見よこの姿!中学生にして完全に様になっている。

掘り方はもう少し慎重さがあると良いかな。まぁ、ゆっくりできるようになれば良いと思う。H君はこの後自分でも発見していた。しかし、彼は探している間にも、機関銃のように質問が出るは出るは、、、本当に楽しい時間でした。ありがとうございました。
冬虫夏草屋としては有望だけどまだ中学生、これからぜひ生涯をかけられるものを見つけてほしいものだ。もちろん冬虫夏草じゃなくてもいいと思う。彼に一番伝えたいのは、「人と違ったり、間違ったり、疑問に思うのを恐れないで、自由な発想を持つこと」。僕も中学生の時はそうだったけど、これがとても難しい。頑張ってほしい。
そんなこんなでH君一家と別れ、僕は追培養にと白く未熟らしいウメムラセミタケを持ち帰った、んだけど家で観察して驚愕。成熟して胞子が出ている、、、。


この時点では気づけなかった、、、。


明らかに孔口が発達しており、胞子も出していた。最初ウスキタンポセミタケの線も疑った。両者の胞子は似ているので混乱したが、形態的にどうやらウメムラセミタケらしい。
白化個体を疑い有識者に確認したところ、「白化個体だろう」ということだった。追培養をすればウメムラセミタケのオリーブ色を呈するかと思ったが、確かに胞子を出すばかり。
両生類と爬虫類を追いかけていた頃からそうだが、白化個体といっても所詮奇形の一種。と思いあまり興味が無かったが、「奇形にも要因があるはずで、その場所に継続的に出れば立派な研究」と有識者に諭された。やはり彼(有識者は僕の師匠で、大学院時代の後輩)レベルが違う。偉そうなことを言ってても僕なんてこの程度だと思い知らされる。今後も調査を続けようと思う。
冬虫夏草もオフシーズンになり始めてもやはり発見は多い。では、今回のフィールドの一番の収穫はウメムラセミタケの白化個体か?それは違う。今回の一番の収穫は「H君がやっぱり凄いやつだ」ということを再確認できたこと。嬉しい気持ちでいっぱいだ。