2017/11/16

菌類の出す色

ソライロタケ。案内してもらって見た瞬間、この金属的な色が本当に自然界で出る色なのか!?と感じた。どうも寒色、暖色に限らず菌類の出す色は冷たい色に感じる。古くなって黄色味を帯びて錆びている感じがさらに金属感を増幅している。

ほぼ完全な状態だとこんな感じ。柄の部分に向かうとグラデーションで紫色っぽくなるのも素敵。地元でも目撃情報があるらしいが、なかなか難航している模様。

裏返すとなんと表面よりキツいえぐみさえ感じる青色。本当なんでこんな色をしているのか。

普段冬虫夏草ばかり探している僕だけど、実は「次はどんな印象の色が見られるだろう」という楽しみも密かに持っている。本当に自然には楽しいことが溢れている。
余談だけど最近生活環境が大きく変化しそうで忙しい。頑張って楽しまねば。
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2017/10/10

今回の収穫は意外なアレ

さて、また1ヶ月経過しそうですね。広告が出てしまいます。
現在静岡新聞様で連載させて頂いている冬虫夏草探索記も今週で12回目となりました。新聞というと僕はお硬い印象があって、どう考えても僕が文章を載せるなんて考えられなかったです。編集者の方のお陰ですが、こうしてブログを打っているとしみじみ嬉しく思います。もう秋も本番ですが、記事を見て山に行ってくれた人が数人でもいるんでしょうか。その数人のために僕は文章を書いたり、写真展やったり、、、本当に充実しています。
ところで、これから新聞記事はドンドンマニアックになっていきます。ご期待ください!
話は変わって先日ウメムラセミタケを探しに山に入ってきた。去年も見つけている場所なので、見つかれば良いなと。しかし今回はこれだけじゃない!「冬虫夏草に興味がある」と言っている中学生H君をフィールドに案内したのだ!
この子との出会いは僕が講師をしているイベントに来ていて、手書きの質問書をくれたことから始まる。そこには自分で山に行き、考え、導き出した質問が丁寧に書かれていた。この質問だけで十分科学であった。嬉しくなって、回答書はワードのA4用紙4枚になってしまった。我ながらやり過ぎた(笑)それだけ嬉しかったということ。
その後その回答も活かして自由研究をし、学校代表になり、現在さらに上の選考まで行っているそうだ。断っておくと僕がしたことは回答だけで、ほとんどは彼自身の実力。これがその一部。


絵が上手い、、、絵が書けない僕は羨ましい。

観察記録もしっかりと。僕も中学生の時に身近な生物をまとめましたが、その時を思い出す。

樹脂包埋して標本作りまで。良い意味で完全に狂っている。
こんな彼とのフィールドだから、僕も本当に楽しみにしていた。
目的地に集合して出て来たのは、H君とその両親。H君宅から目的地までは1時間半以上かかるにも関わらず息子のために両親総出。(あぁ、、、H君の凄さは両親の協力体制があってこそなんだな。)と思い、少し羨ましかった。僕の中学生の頃はこうはいかなかった。
始まってからはひたすら喋りながらウメムラセミタケ探し。
一番最初に見つけたのはなんと、H君のお母さん。マジかよ!のほほんと「これはー?」じゃないですよ。それだよ!!
その後程なくして僕も見つけましたがやっぱり悔しい。
その後このお母さんトイレに行ったついでにコガタスズメバチに寄生したハチタケも発見。もういいです。もうH君に冬虫夏草を教えるのはご自身でお願いします。


やはり宿主が大きいと迫力がありますねー。しかし、もう少し子実体が出てても良いのになー、とも思う。環境がそれほど多湿じゃないので、環境が少し合っていないのかな?
H君には僕が見つけたウメムラセミタケを譲り、掘ってもらった。見よこの姿!中学生にして完全に様になっている。

掘り方はもう少し慎重さがあると良いかな。まぁ、ゆっくりできるようになれば良いと思う。H君はこの後自分でも発見していた。しかし、彼は探している間にも、機関銃のように質問が出るは出るは、、、本当に楽しい時間でした。ありがとうございました。
冬虫夏草屋としては有望だけどまだ中学生、これからぜひ生涯をかけられるものを見つけてほしいものだ。もちろん冬虫夏草じゃなくてもいいと思う。彼に一番伝えたいのは、「人と違ったり、間違ったり、疑問に思うのを恐れないで、自由な発想を持つこと」。僕も中学生の時はそうだったけど、これがとても難しい。頑張ってほしい。
そんなこんなでH君一家と別れ、僕は追培養にと白く未熟らしいウメムラセミタケを持ち帰った、んだけど家で観察して驚愕。成熟して胞子が出ている、、、。


この時点では気づけなかった、、、。


明らかに孔口が発達しており、胞子も出していた。最初ウスキタンポセミタケの線も疑った。両者の胞子は似ているので混乱したが、形態的にどうやらウメムラセミタケらしい。
白化個体を疑い有識者に確認したところ、「白化個体だろう」ということだった。追培養をすればウメムラセミタケのオリーブ色を呈するかと思ったが、確かに胞子を出すばかり。
両生類と爬虫類を追いかけていた頃からそうだが、白化個体といっても所詮奇形の一種。と思いあまり興味が無かったが、「奇形にも要因があるはずで、その場所に継続的に出れば立派な研究」と有識者に諭された。やはり彼(有識者は僕の師匠で、大学院時代の後輩)レベルが違う。偉そうなことを言ってても僕なんてこの程度だと思い知らされる。今後も調査を続けようと思う。
冬虫夏草もオフシーズンになり始めてもやはり発見は多い。では、今回のフィールドの一番の収穫はウメムラセミタケの白化個体か?それは違う。今回の一番の収穫は「H君がやっぱり凄いやつだ」ということを再確認できたこと。嬉しい気持ちでいっぱいだ。
2017/09/18

今年一番の大収穫

冬虫夏草のシーズンも終わり始めている。けど、原稿に今年度のデータ整理を始めたら次のシーズンまでにやる事はまだまだある。内業はあまり好きではないけど仕方ない。特にデータ整理は慎重にやらなくては自身の行動が全く意味を成さなくなってしまうので、時間をかけてしっかりと。頑張らねば。
とそんなことを考えて今年度のリストを見ていると、一番の収穫はやっぱりシロタマゴクチキムシタケだ。地味に見えた方、確かにその通り。だけどこの種が面白いのはヤスデの卵に寄生しているという点。丸いツブツブが見えると思うが、これが卵である。なんとも奇妙。

あるだろう事は分かっていたけどずっと見つけることができないでいた。これは嬉し過ぎる。胞子を盛んに放出したので、成熟すると黄色っぽくなるのかと思いきや、有識者によると少し古いらしい。

これが成熟している状態だそうだ。こちらも観察したが、あまり子嚢胞子は観察出来ずなぜか分生子が観察できた。

拡大するとこんな感じ。子嚢殻は真っ白。

生物探しの醍醐味は自分で憧れの種を見つけた際の高揚感。正直どんな快感にも変えられない。どうやら今後も冬虫夏草とは長い付き合いになりそうだ。
2017/08/27

トップに広告

早くも出てしまいましたね。トップに広告。昔はこれが出ると(あー、また好きなテキストサイトが消えてしまうのか)なんて心配になったもんです。閉鎖はしません。
さて、新聞の連載も次の週の分で7回目になります。密かにコンセプトは「図鑑では得られない臨場感」にしているんですが、皆様どうでしょうか?僕と一緒に冬虫夏草探しをしている感覚になってくださっていれば、本当に嬉しいです。ここからどんどんマニアックになっていく予定です。僕と一緒に歩くと、いつの間にか引き返せないマニア沼にハマってしまうのです(笑)今後も覚悟の上よろしくお願いします!
さて、最近もフィールドの話。
最近嬉しかったのはこれ。無印セミタケだ!
恥ずかしながら長年見られないでいた本種をosoさんの案内により達成!本当にありがとうございます。


本種の魅力は何と言ってもザ、冬虫夏草といった全体像。バランスが取れていて迫力もある。素晴らしい。実際には結構小さいんだけど。
上記の個体はなぜか欠いていますが、子実体の基部にソボールという器官を生じる。

拡大すると少し気持ち悪い。中には厚膜胞子という胞子が詰まっている。

恋い焦がれていた種なので期待度にハードルが上がっていたが、実際見てみればこれは期待以上に良い冬虫夏草だった。
冬虫夏草自体を見つけられたのも大きいが、最も収穫だったのは発生環境が見られたこと。驚くほど日が当たりやすい草本類が繁茂する斜面だったのだ。冬虫夏草は水分が重要なため、日が当たり乾燥しやすい場所には発生しにくく足が向きにくい。しかし、地面に手を置いてみて冬虫夏草が発生する理由がよく分かった。苔に覆われている部分にはある程度の水分が維持されている。当然といえば当然だが、身を持って体感すると説得力が違う。
こういった経験は自分で冬虫夏草を探す際に必ず活きる。だから多少遠方でも声がかかれば冬虫夏草を探しにいってしまうのである。
最近はイベントで講師も勤めました。

イベント後に参加者から手書きの質問書を受け取った。丁寧に書かれたその文章からは本当に好きな気持ちが滲み出ていた。イベントで最も嬉しい瞬間。
僕が冬虫夏草を始めた頃は、今のように手軽に図鑑が手に入らずイベントもなかったので足掛かりが掴めず苦労した。だから今後は僕が足掛かりになれれば良いなぁ、と思っている。
2017/07/17

最高のお知らせと遠征成果

今日は僕の冬虫夏草ライフにおける記念すべき日です。
なんと、僕の冬虫夏草探索記が静岡新聞様の連載になりました!毎週月曜の朝刊科学欄での連載になります。よろしくお願いします!

いやー、なんか毎回偉そうなこと言ってますが僕なんてクソオタク野郎ですよ?
ちなみにクソオタク野郎とは、大学時代に当時の彼女と旅行したはずなのに、モリアオガエルの声に耐えられず山に入ろうとしてというか入って、「ふざけんなこのクソオタク野郎!!」と言われたことにちなみます。
やり過ぎは良くないところはありますが、特に若い方は自分が好きな事は過不足無く取り組みましょう。きっと実を結ぶはずです。
本当に嬉しい。これある意味僕が描いた夢の一端なんです。是非見てみてください。きっと楽しいはずです。
さて、話は変わって昨日。僕は同じ冬虫夏草の会のメンバーであるS君に誘われ遠征に行った。
他にも参加する方がいるとは聞いていましたが、会の事務局を務める方を始めビックメンバーばかり。聞いてない。緊張するじゃないか。
沢に入ってみるとこの冬虫夏草がたくさん。

ハエヤドリタケ。今回はムシヒキアブの一種から発生している。なんといってもものすごい密度だった。以前東北で、同じくムシヒキアブから発生するハエヤドリタケの大量発生を見た事がある。どちらもなんの変哲もない沢だった。
歩きながら何か変わったものはないかと見ていたが、湿度は高いものの普通の広葉樹林。宿主のムシヒキアブがたくさん飛んでいるわけでもなかった。よく分からん。
みなみに発生密度は歩けば歩くだけこんな風景が見られるくらい。まさにムシヒキアブの地獄!

白バックだとこんな感じ。



結実部拡大。図鑑見て気付いたんですが、これってハスノミ型なんですね。タンポ型かと、、、。

ケツからはシンネマを出します。テレオモルフとアナモルフが同一宿主に同居。なんという無敵感。ムシヒキアブやハエは災難ですね。

未熟なものもいくつか。追培養用です。

こちらは出たてて、複眼も壊れていない。振り上げた脚が生々しい。

そして次々見つかるクモ生冬虫夏草。
この冬虫夏草はたぶんコエダクモタケ。

まだ子嚢殻が形成されておらず未熟。追培養してみることに。以前見つけたものと比べると黄色味が強い気がする。若いからだろうか。

出来始めているのは散見され、あと少しといった感じ。

こんなクモ生冬虫夏草も。コエダクモタケかと思ったが、どうも胞子の大きさが違うようだ。結局なにかは分からない。


午後になり隣の谷の沢に移動。出たのはこの冬虫夏草。みんな大好きヤンマタケ。
なんだけど、宿主が小さなノシメトンボの為、少し迫力に欠ける。それでも物凄いインパクト。


不思議と谷一つ跨ぐとあれだけあったハエヤドリタケがほとんど見つからない。やはり胞子の移動能力が低いのだろうか。両方の沢で計測してみると、少なくとも湿度は同じなようだ。
白バックだとこんな感じ。


赤色の子実体が美しい。

と、こんな感じ。1日の調査でこの成果。参加者の方がここに来ると他の場所に行けなくなる。と言っていたがそれほどのインパクトがある。
今回ヤンマタケはこの一つしか出なかったが、以前は数十個体単位で発生していたらしい。何が原因かははっきりしないが、農業用のダムが出来てかららしい。
ただ、こういう時に考えなくてはいけないのは、たとえダムが原因だとしてもダムができることにも理由があるということ。農業用のダムなら僕たちの食を支えるものであるはずだ。悪い事では決してない。
個人的な意見だが僕たちができる事は、こんな素晴らしい生物がいるんだという事実を1人でも多くの人に知ってもらって、多くの人に考えてもらえるようにする事であると思う。生物屋だけが騒いでも残念ながら少数派になってしまうので、影響力を少しでも大きくして、話し合えればいいと思う。
そのために私はレッドデータの調査をしたり、写真展を開催したり、今回の新聞だってもちろんその一部。私は女子高生の会話に冬虫夏草があがる世界を作りたいのです。
話は逸れましたが、関係者の皆様本当にありがとうございました!夢のような時間でした。
最後に僕を誘ってくれたS君に未熟なカイガラムシ生冬虫夏草を託された。カイガラムシツブタケだろうか。しかし、宿主も子実体も共に小さい。なんとか追培養を成功させたいところ。