2017/09/18

今年一番の大収穫

冬虫夏草のシーズンも終わり始めている。けど、原稿に今年度のデータ整理を始めたら次のシーズンまでにやる事はまだまだある。内業はあまり好きではないけど仕方ない。特にデータ整理は慎重にやらなくては自身の行動が全く意味を成さなくなってしまうので、時間をかけてしっかりと。頑張らねば。
とそんなことを考えて今年度のリストを見ていると、一番の収穫はやっぱりシロタマゴクチキムシタケだ。地味に見えた方、確かにその通り。だけどこの種が面白いのはヤスデの卵に寄生しているという点。丸いツブツブが見えると思うが、これが卵である。なんとも奇妙。

あるだろう事は分かっていたけどずっと見つけることができないでいた。これは嬉し過ぎる。胞子を盛んに放出したので、成熟すると黄色っぽくなるのかと思いきや、有識者によると少し古いらしい。

これが成熟している状態だそうだ。こちらも観察したが、あまり子嚢胞子は観察出来ずなぜか分生子が観察できた。

拡大するとこんな感じ。子嚢殻は真っ白。

生物探しの醍醐味は自分で憧れの種を見つけた際の高揚感。正直どんな快感にも変えられない。どうやら今後も冬虫夏草とは長い付き合いになりそうだ。
スポンサーサイト
2017/08/27

トップに広告

早くも出てしまいましたね。トップに広告。昔はこれが出ると(あー、また好きなテキストサイトが消えてしまうのか)なんて心配になったもんです。閉鎖はしません。
さて、新聞の連載も次の週の分で7回目になります。密かにコンセプトは「図鑑では得られない臨場感」にしているんですが、皆様どうでしょうか?僕と一緒に冬虫夏草探しをしている感覚になってくださっていれば、本当に嬉しいです。ここからどんどんマニアックになっていく予定です。僕と一緒に歩くと、いつの間にか引き返せないマニア沼にハマってしまうのです(笑)今後も覚悟の上よろしくお願いします!
さて、最近もフィールドの話。
最近嬉しかったのはこれ。無印セミタケだ!
恥ずかしながら長年見られないでいた本種をosoさんの案内により達成!本当にありがとうございます。


本種の魅力は何と言ってもザ、冬虫夏草といった全体像。バランスが取れていて迫力もある。素晴らしい。実際には結構小さいんだけど。
上記の個体はなぜか欠いていますが、子実体の基部にソボールという器官を生じる。

拡大すると少し気持ち悪い。中には厚膜胞子という胞子が詰まっている。

恋い焦がれていた種なので期待度にハードルが上がっていたが、実際見てみればこれは期待以上に良い冬虫夏草だった。
冬虫夏草自体を見つけられたのも大きいが、最も収穫だったのは発生環境が見られたこと。驚くほど日が当たりやすい草本類が繁茂する斜面だったのだ。冬虫夏草は水分が重要なため、日が当たり乾燥しやすい場所には発生しにくく足が向きにくい。しかし、地面に手を置いてみて冬虫夏草が発生する理由がよく分かった。苔に覆われている部分にはある程度の水分が維持されている。当然といえば当然だが、身を持って体感すると説得力が違う。
こういった経験は自分で冬虫夏草を探す際に必ず活きる。だから多少遠方でも声がかかれば冬虫夏草を探しにいってしまうのである。
最近はイベントで講師も勤めました。

イベント後に参加者から手書きの質問書を受け取った。丁寧に書かれたその文章からは本当に好きな気持ちが滲み出ていた。イベントで最も嬉しい瞬間。
僕が冬虫夏草を始めた頃は、今のように手軽に図鑑が手に入らずイベントもなかったので足掛かりが掴めず苦労した。だから今後は僕が足掛かりになれれば良いなぁ、と思っている。
2017/07/17

最高のお知らせと遠征成果

今日は僕の冬虫夏草ライフにおける記念すべき日です。
なんと、僕の冬虫夏草探索記が静岡新聞様の連載になりました!毎週月曜の朝刊科学欄での連載になります。よろしくお願いします!

いやー、なんか毎回偉そうなこと言ってますが僕なんてクソオタク野郎ですよ?
ちなみにクソオタク野郎とは、大学時代に当時の彼女と旅行したはずなのに、モリアオガエルの声に耐えられず山に入ろうとしてというか入って、「ふざけんなこのクソオタク野郎!!」と言われたことにちなみます。
やり過ぎは良くないところはありますが、特に若い方は自分が好きな事は過不足無く取り組みましょう。きっと実を結ぶはずです。
本当に嬉しい。これある意味僕が描いた夢の一端なんです。是非見てみてください。きっと楽しいはずです。
さて、話は変わって昨日。僕は同じ冬虫夏草の会のメンバーであるS君に誘われ遠征に行った。
他にも参加する方がいるとは聞いていましたが、会の事務局を務める方を始めビックメンバーばかり。聞いてない。緊張するじゃないか。
沢に入ってみるとこの冬虫夏草がたくさん。

ハエヤドリタケ。今回はムシヒキアブの一種から発生している。なんといってもものすごい密度だった。以前東北で、同じくムシヒキアブから発生するハエヤドリタケの大量発生を見た事がある。どちらもなんの変哲もない沢だった。
歩きながら何か変わったものはないかと見ていたが、湿度は高いものの普通の広葉樹林。宿主のムシヒキアブがたくさん飛んでいるわけでもなかった。よく分からん。
みなみに発生密度は歩けば歩くだけこんな風景が見られるくらい。まさにムシヒキアブの地獄!

白バックだとこんな感じ。



結実部拡大。図鑑見て気付いたんですが、これってハスノミ型なんですね。タンポ型かと、、、。

ケツからはシンネマを出します。テレオモルフとアナモルフが同一宿主に同居。なんという無敵感。ムシヒキアブやハエは災難ですね。

未熟なものもいくつか。追培養用です。

こちらは出たてて、複眼も壊れていない。振り上げた脚が生々しい。

そして次々見つかるクモ生冬虫夏草。
この冬虫夏草はたぶんコエダクモタケ。

まだ子嚢殻が形成されておらず未熟。追培養してみることに。以前見つけたものと比べると黄色味が強い気がする。若いからだろうか。

出来始めているのは散見され、あと少しといった感じ。

こんなクモ生冬虫夏草も。コエダクモタケかと思ったが、どうも胞子の大きさが違うようだ。結局なにかは分からない。


午後になり隣の谷の沢に移動。出たのはこの冬虫夏草。みんな大好きヤンマタケ。
なんだけど、宿主が小さなノシメトンボの為、少し迫力に欠ける。それでも物凄いインパクト。


不思議と谷一つ跨ぐとあれだけあったハエヤドリタケがほとんど見つからない。やはり胞子の移動能力が低いのだろうか。両方の沢で計測してみると、少なくとも湿度は同じなようだ。
白バックだとこんな感じ。


赤色の子実体が美しい。

と、こんな感じ。1日の調査でこの成果。参加者の方がここに来ると他の場所に行けなくなる。と言っていたがそれほどのインパクトがある。
今回ヤンマタケはこの一つしか出なかったが、以前は数十個体単位で発生していたらしい。何が原因かははっきりしないが、農業用のダムが出来てかららしい。
ただ、こういう時に考えなくてはいけないのは、たとえダムが原因だとしてもダムができることにも理由があるということ。農業用のダムなら僕たちの食を支えるものであるはずだ。悪い事では決してない。
個人的な意見だが僕たちができる事は、こんな素晴らしい生物がいるんだという事実を1人でも多くの人に知ってもらって、多くの人に考えてもらえるようにする事であると思う。生物屋だけが騒いでも残念ながら少数派になってしまうので、影響力を少しでも大きくして、話し合えればいいと思う。
そのために私はレッドデータの調査をしたり、写真展を開催したり、今回の新聞だってもちろんその一部。私は女子高生の会話に冬虫夏草があがる世界を作りたいのです。
話は逸れましたが、関係者の皆様本当にありがとうございました!夢のような時間でした。
最後に僕を誘ってくれたS君に未熟なカイガラムシ生冬虫夏草を託された。カイガラムシツブタケだろうか。しかし、宿主も子実体も共に小さい。なんとか追培養を成功させたいところ。
2017/07/02

夏!夏だ!!

最近ジメジメしてますね。みんなが不快な季節も冬虫夏草があれば問題なし!と言いたいところなんですが、そうでもないです。僕って肌が弱くて痒いんですよね。不快なもんは不快です。
そんな事はさておき、それでも冬虫夏草を探しに行っている。
まず低地ではこいつ。


これだけだと微妙なんですが、ハヤカワセミタケです。掘り出すとこんな感じ。


そう、こいつらはまだ未熟。年端もいかない幼いハヤカワセミタケ。こんな幼い子を連れ帰ってどうするかというと、一定の温度で培養して成長の過程を追ってみたいと思っている。
実は一回成功しているんですが、2枚目のように本当に発生初期から培養できていなかったんで再トライという感じです。白い部分が成熟してオリーブ色になるはずなんだけど、その部分の動きを観察したい。
高地の山に行って見ればこんな面々。
まずコガネムシタンポタケ。



こうして見ると物凄いインパクト。子実体の赤色がキツすぎて目がチカチカする。春から初夏を代表する冬虫夏草。嬉しい気分になる。
そして昨日。県内初となるクビナガクチキムシタケを発見。他県で見つけた経験が活きて見つけることができた。

倒木の下側に発生していた。だから逆さ。
こういう思わぬ発見があるから、いくら不快でもフィールドはやめられない。
2017/06/10

西表島調査

ご無沙汰しています。
最近は何かと忙しく更新が滞っておりました。
タイトルにもありますが西表島で冬虫夏草の調査をしてきました。1日目に定期線に乗ってこの風景。もう完全に熱帯。学生時代にも訪れていますが、本土とは完全に別世界。そして暑い、湿度高い。

調査メンバーもそうそうたるメンツで、冬虫夏草の会創設初期からのK氏他2名、自然系の本をたくさん出されている超有名人M氏、若手ナンバー1のA氏、そして僕。完全に浮いてる(笑)
1日目は最悪で、何も見つけられない上にイリオモテセミタケを切りまくる。言い訳がてらにお話しすると西表島の土は粘土質で掘りにくいったらありゃしない。
そんなこんなで2日目はこんなところ。

中に入ると視界ゼロのジャングル。不快度マックスで探しまくると、、、あった!イリオモテセミタケ。代表的なものとして別の方が掘ったのを載せときます。僕も2日目には切らずに掘り出せたんだからね!勘違いしないでよね!!

さて、、、注目して欲しいのが上下段両方現状イリオモテセミタケだということ。上段が1日目に僕が切りまくったやつですが、場所によってここまで違う。宿主ももちろん小さいが、両者が本当に同種かは検討の余地があるよう。
しばらくすると、カワイイ子実体を見つける。ヤエヤマコメツキムシタケ!
この薄いピンク色がなんとも言えず女性的な温かみがある。本土にもコメツキムシタケという冬虫夏草があるが、全然印象が違う。この色が林内で目立つのもあるんだろうが、一番の普通種らしい。

次に見つかったのが、カンザシセミタケ。
なんというか、、、全体的にやる気のない形状をしている。ただこいつも結実部の黄色がそれなりに目立つ。アブラゼミタケによく似る、、、らしい。僕はアブラゼミタケを見たことがないが、地上に出る柄の部分が本種の方が長くて、先端以外にも結実部ができるのが特徴らしい。宿主は浅いところにあって掘りやすいはずなんだけど、粘土のせいでやっぱり油断できない。全く粘土め!

そして最後を飾るは、コイツ。イリオモテクマゼミタケ。もはや言うまでもなくもの凄い迫力。圧巻。実は本種は以前石垣島で見つけているが、時期が遅く古い個体だった。今回も見つけようと思って勇んでいれば、なんとこれだけは一つも見つけることができなかった。悔しい。

掘り出すとこんな感じ。これ実際に見ると、宿主もでかくてヤバい。カッコよすぎる。

とまぁ、収穫はこんな感じ。もっと精進して調査で役に立てるようにならないとなぁ。というのが正直な感想。
そして冬虫夏草はもちろんだが、夜に諸先輩がたと遅くまで話をできたのが最大の収穫だった。特に冬虫夏草の記事を書く際のコツなんかは、個人的に一番悩んでいたので救われた気分。
関係者の皆様、若輩者の僕をメンバーに迎えてくださり本当にありがとうございました!